きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




あたしにバトンが渡った時は、まだ最下位だった。


でも、一年生の男の子が差を詰めてくれたおかげで、すぐに一人を抜いた。


あと二人。


せめて、雄平に繋げる前に、差を縮めておきたい。


「杏奈ーっ!」


遠くで雄平が手を振る。


一人、抜いた。


ごめん、雄平、あと一人、残っちゃった。


「杏奈!」


雄平が手を差し伸べる。


練習をし始めた頃は全然うまくいかなかった、バトンの受け渡し。


練習を重ねた今も、渡す瞬間には心臓が縮み上がる。


でも、大丈夫、きっとうまく行く。


雄平は必ず受け取ってくれる。


信じなきゃ。


雄平を。


自分を。


大きな手のひらに向かって、バトンを叩き込む。


「まかせた雄平!」


パシン、と乾いた音がして、バトンはしっかりと、繋がった。


「まかせろ!」


そう言って、雄平は飛び出すように加速した。