雄平に気付いた女の子は、あたふたと慌て始める。
「ご、ごめんなさい、先輩、もうすぐ自分の番なのに…」
励ますつもりが逆にもっと泣かせてしまい、戸惑う雄平。
ぎこちない手つきでその子の頭をぐりぐりと撫で、
「がんばったな。後はまかせろ!」
そう言って、ニッと笑って見せた。
「は、はい…」
目にいっぱい涙をうかべたまま顔を赤くする女の子。
やばいよ、雄平。
今の、かっこよかった。
彼女、恋しちゃったよ、絶対。
「じゃ!」
自分の順番が近付いてきているのに気付いた雄平は、片手を上げて、颯爽とその場を去った。
後輩達が、女の子だけでなく、男の子までも、雄平の後ろ姿に見とれていた。
「かっけぇ…」
男の子の一人がつぶやいた。
うん、あたしもそう思った。
悔しいけど。
普通、一人転んだからって、別の場所でスタートを待っている立場で、走って来たりしない。
たぶん、損得とか、自分の立場とか、考えるより先に、体が動いてしまうのだろう。
雄平は、優しいから。
最後に自分が一位になるという自信があっても、今この瞬間に、責任を感じて泣いている子を放っておけない。
そういうところが、すごいんだ、雄平は。



