きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




雄平に気付いた女の子は、あたふたと慌て始める。


「ご、ごめんなさい、先輩、もうすぐ自分の番なのに…」


励ますつもりが逆にもっと泣かせてしまい、戸惑う雄平。


ぎこちない手つきでその子の頭をぐりぐりと撫で、


「がんばったな。後はまかせろ!」


そう言って、ニッと笑って見せた。


「は、はい…」


目にいっぱい涙をうかべたまま顔を赤くする女の子。


やばいよ、雄平。


今の、かっこよかった。


彼女、恋しちゃったよ、絶対。


「じゃ!」


自分の順番が近付いてきているのに気付いた雄平は、片手を上げて、颯爽とその場を去った。


後輩達が、女の子だけでなく、男の子までも、雄平の後ろ姿に見とれていた。


「かっけぇ…」


男の子の一人がつぶやいた。


うん、あたしもそう思った。


悔しいけど。


普通、一人転んだからって、別の場所でスタートを待っている立場で、走って来たりしない。


たぶん、損得とか、自分の立場とか、考えるより先に、体が動いてしまうのだろう。


雄平は、優しいから。


最後に自分が一位になるという自信があっても、今この瞬間に、責任を感じて泣いている子を放っておけない。


そういうところが、すごいんだ、雄平は。