今日最後のピストルの音。
トラックの周りには、全校生徒。
そして、歓声。
スタートは二年生の男子。
少し出遅れ、四チーム中、三位だ。
各学年とも、男女二人ずつが走るので、結構な人数になる。
アンカーの雄平は、自分のスタート地点を離れ、後輩達に声をかけて回る。
「落ち着いて!」
「大丈夫だ、いける!」
「がんばれ!」
雄平の声が、みんなの勇気になっていた。
でも、アクシデントが起きてしまう。
一年生の女の子が、途中で転んでしまった。
「ごめんなさいっ…うっ…ごめ…」
バトンを渡した後、その場にうずくまって泣き出してしまう。
あたしはその子に駆け寄り、背中をなでる。
「大丈夫だよ!まだ挽回できる。あたしに…」
そう言いかけると、さえぎるように、
「俺にまかせろ!」
雄平の声が飛んでくる。
肩で息をしている雄平は、きっとこの子が転んで落ち込んでいるのをわかって、走って来てくれたのだろう。



