きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




保健室を覗くと、三つあるベッドのうち一つの布団だけがふくらんでいて、それが将太君だとわかった。


「失礼しまーす…」


保健の先生は席をはずしているらしく、返事はなかった。


その代わり、ベッドが驚くほど大きな音を立てた。


「しょ、将太君?」


将太君は、布団をすっぽりかぶる。


「大丈夫?」


ベッドに寄って声をかけてみると、少ししてから、


「わ、笑ってんだろ。バカな奴だって、思ってんだろ」


涙声が聞こえてくる。


なんというか、そんなことを考えている場合ではないのだけれど、かわいいと思ってしまう。


この子はいつも母性本能をくすぐる。


励ましてあげたいと思わせる。


「将太君、足早いんだね。すごいなって思ったよ」


返事はないけれど、続けた。


「あんなにがんばれるって、すごいことだと思うよ。うん、かっこいい」


そう言うと、将太君は布団を跳ねのけて起き上った。


「ほ、ほんとか」


大きな目であたしを見る。


泣いたのだろう、少し赤い目。


「うん」


元気づけようと笑いかけた。



その瞬間。



「!?」



腕をつかまれた。