保健室を覗くと、三つあるベッドのうち一つの布団だけがふくらんでいて、それが将太君だとわかった。
「失礼しまーす…」
保健の先生は席をはずしているらしく、返事はなかった。
その代わり、ベッドが驚くほど大きな音を立てた。
「しょ、将太君?」
将太君は、布団をすっぽりかぶる。
「大丈夫?」
ベッドに寄って声をかけてみると、少ししてから、
「わ、笑ってんだろ。バカな奴だって、思ってんだろ」
涙声が聞こえてくる。
なんというか、そんなことを考えている場合ではないのだけれど、かわいいと思ってしまう。
この子はいつも母性本能をくすぐる。
励ましてあげたいと思わせる。
「将太君、足早いんだね。すごいなって思ったよ」
返事はないけれど、続けた。
「あんなにがんばれるって、すごいことだと思うよ。うん、かっこいい」
そう言うと、将太君は布団を跳ねのけて起き上った。
「ほ、ほんとか」
大きな目であたしを見る。
泣いたのだろう、少し赤い目。
「うん」
元気づけようと笑いかけた。
その瞬間。
「!?」
腕をつかまれた。



