ピストルの音と共に、集団がスタートした。
1500メートル走はトラックを周回するため、集団が何度か前を通り、香織は「がんばってー」と声をかけている。
「次は杏奈もね」と言われ、将太君が近付いた時に、しぶしぶ声をかけてみる。
「しょ、将太君、がんばれー!」
すると将太君は、目を丸くしてあたしを見た。
そして、一気にペースを上げた。
「将太君、がんばりすぎじゃない…?」
将太君はいつの間にか、短距離走かというほどのペースで走っていた。
それが1500メートルもつわけもなく、
「わー!一人倒れたぞー!」
将太君は、ゴールを前にして倒れた。
まるでギャグのような展開に唖然とする。
「うそみたい…」
今にも笑い出しそうな、案外残酷な香織。
でもあたしは笑うどころではなく、
「なんか責任感じる…」
将太君を乗せた担架を見送りながら、
「後で様子見に行った方がいいよね」
香織に問いかけると、香織は口元をゆがませたまま、頷いた。



