ピストルが鳴り、青空の中に白い煙が吸い込まれる。
男子全員参加の100メートル走。
一走ごとに順位がつけられ、順位に応じて得点を獲得できる。
組み合わせが悪く、二組は今のところ、一位を取ることができていない。
次は雄平が走る番だ。
雄平のことだから、きっと軽々と一位を取ってくれると思っていたけれど、運悪く、陸上部の一人と同じ回になってしまったらしい。
「雄平くーん!がんばってー!」
スタート位置についた雄平に向かって、香織を始め、クラスメイト達が激を飛ばす。
雄平の真剣な視線が、あたし達がいる場所の前を通り、ゴールを見据える。
あたしまでスタート地点に立っているような緊張に襲われ、汗ばんだ手をぎゅっと握った。
パンッという乾いた音と共に、雄平が地面を蹴る。
歓声の中を走者が駆け抜ける。
ゴールに近い場所から見ていると、正確な順位がわからない。
「雄平ー!」
思わず、叫ぶ。
雄平が目の前を通り過ぎ、砂埃が舞った。
一位と二位の接戦に見えた。
ゴールを切った。
スピードを緩める雄平。
そこに近付いたのは、一位の旗を持った係員。
「一位だ!」
「やったー!」
あたしは香織と手を取り合って喜んだ。
今すぐにでも雄平の所に行って「やったじゃん」と言いたかった。
さすが雄平。



