雄平は、斜め下の方に視線をはずしたまま、口を開く。
「何かあったか?」
「え…?」
ようやく顔を上げて、視線を合わせた。
眉を寄せた表情が、あたしを心配してくれている。
「様子が、いつもと違うから…。なんか、おどおどしてる」
その言葉に、あたしは安心した。
変な目なんかじゃなく、あたしのことをちゃんと見ていてくれているとわかったから。
だから、心の中の迷いを、雄平に打ち明けることにした。
「この服、似合ってないよね。なんか、変だよね。香織はあんなにかわいいいのに。あたし、今からでも学ランにしよっかな」
あたしはスカートの裾を下に引っ張る。
すると雄平は、
「それはダメ!着替えるな、絶対」
はっきりと、強く、言ってくれた。
「めちゃめちゃ似合ってる。すげーかっこいいよ」
「かっこいい…?」
意外な言葉に驚く。
「うん。本物のチアリーダーみたいだもん。だから堂々としてろよ、いつもみたいに」
かっこいいという表現が、雄平らしくてうれしかった。
そこには、いやらしさなんて、全然無い。
「チアリーダーが背中丸めててどうすんだよ。俺達でクラス盛り上げるんだろ!」
そう言ってあたしの背中を叩き、
「な、行こうぜ」
しっかりと目を合わせて、ニッと笑ってくれた。
その笑顔に、救われた。
大丈夫だ。
雄平が言ってくれるんだから、大丈夫。
「…うん!」
あたしは力強く頷き、雄平と一緒に、みんなのもとへ走った。



