いざ。
といいつつ、あたしは先頭を行く香織の後に隠れるように歩く。
「わーっかわいー」
「似合うー」
香織に向けられる言葉に、あたしも納得。
「おいっ!見ろよ」
「まじかよ、やべぇ」
なんて言う男子に、「何がやばいのよ」と心の中で突っ込みながら歩く。
「おまたせー!」
先に準備を初めていた男子の応援団メンバーのもとに行くと、男子全員そろって手をとめて、ぽかんと口を開けた。
ま、香織は観賞するに値するけど。
「杏奈…?」
雄平が目を丸くして、あたしを指さしてくる。
「な、なによー。らしくないからって、そんな驚いたふりしなくたっていいじゃん」
一歩近付くと、雄平が珍しくたじろいだ。
片手を口に当てて、もごもごと何か言う。
「何!?」
「や、その。うん、似合ってる。馬子にも衣装ってゆーの?」
「はぁ!?」
あたしはいつもの調子で片手を振り上げるが、雄平はそれを受け止めることなく、
「さ、準備、急がないと」
と言って背を向けてしまった。
なんか、変。
振り返ると、あたし達を見ていたらしい他の男子達と目が合った。
あたしと雄平の喧嘩は騒がしいので、いつもギャラリーがついてしまうのだけど、今日はいつも以上に多くて驚く。
しかしすぐに皆そそくさと持ち場に戻って行った。



