きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




「わー!香織かわいい!」


背後で歓声が上がり、振り返ると、ふわふわの髪をツインテールにまとめ、きれいにメイクした香織がはにかんでいた。


「ほんと、かわいい…食べちゃいたい…」


あたしがふざけて香織に抱きつこうとすると、


「次は杏奈だよ。ここ座って」


肩をつかんで、くるりと向きを変えられた。


香織は器用にあたしの髪を結いあげていく。


サイドに編み込みを入れてくれたり、自分の頭よりずっと手間をかけてくれている。


「香織、すっごい上手だね。器用だなー」


合わせ鏡で後を見せてもらいながら、感嘆のため息をつく。


「長い髪触るのうれしくて、がんばっちゃった。次、メイクね」


「えっ。メイクはいいよ。したことないし」


「だから、でしょ」


そう言って香織は、相変わらず器用な手つきで、あたしに色をつけていった。


初めて化粧をほどこされた鏡の中のあたしは、照れくさそうに笑う。


ピンク色の唇、ボリュームを増したまつ毛、キラキラした目元。


なんだか自分じゃないみたいで、ドキドキする。


「香織、ありがと」


「杏奈、すごい綺麗!」


「もー何言ってるのよー。香織の方がかわいいよー」


そう言い合いながら香織と手を取り合っていると、


「こらーっそこ!褒め合ってないで、外行くよー」


他のメンバーに怒られて、あたし達は顔を見合わせて舌を出す。


なんだかすごく、楽しくなってきた。