「わー!香織かわいい!」
背後で歓声が上がり、振り返ると、ふわふわの髪をツインテールにまとめ、きれいにメイクした香織がはにかんでいた。
「ほんと、かわいい…食べちゃいたい…」
あたしがふざけて香織に抱きつこうとすると、
「次は杏奈だよ。ここ座って」
肩をつかんで、くるりと向きを変えられた。
香織は器用にあたしの髪を結いあげていく。
サイドに編み込みを入れてくれたり、自分の頭よりずっと手間をかけてくれている。
「香織、すっごい上手だね。器用だなー」
合わせ鏡で後を見せてもらいながら、感嘆のため息をつく。
「長い髪触るのうれしくて、がんばっちゃった。次、メイクね」
「えっ。メイクはいいよ。したことないし」
「だから、でしょ」
そう言って香織は、相変わらず器用な手つきで、あたしに色をつけていった。
初めて化粧をほどこされた鏡の中のあたしは、照れくさそうに笑う。
ピンク色の唇、ボリュームを増したまつ毛、キラキラした目元。
なんだか自分じゃないみたいで、ドキドキする。
「香織、ありがと」
「杏奈、すごい綺麗!」
「もー何言ってるのよー。香織の方がかわいいよー」
そう言い合いながら香織と手を取り合っていると、
「こらーっそこ!褒め合ってないで、外行くよー」
他のメンバーに怒られて、あたし達は顔を見合わせて舌を出す。
なんだかすごく、楽しくなってきた。



