きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




胸の中の小さな変化をどうにかしたくて、あたしは雄平に嫌味を言う。


「とめられないのに、脱ぐ時どうするのよ」


「そん時は杏奈にとってもらうもん」


当たり前みたいにさらりと言うから、胸が跳ねるのが一瞬遅れる。


雄平にとっては特別な意味なんてなくて、表情も変えず、


「外、先行って準備してるから」


長めの学ランをひるがえし、行ってしまった。


「とってもらうもん、かぁ」


香織がどこか淋しげにつぶやき、雄平の後ろ姿を見送っていた。


その目はどこかせつなげで、熱っぽくて、そんな香織の表情を初めて見たあたしは、つい見入ってしまう。


すごく、綺麗だと思った。


いつもはふんわりとかわいい香織が、大人の女性に見える。


まるで、恋をしているような瞳。


香織、今までもそんな目で、雄平のこと見ていたのかな?


あたしが気付かなかっただけ?


『雄平のこと、好きなの?』


喉まで出かかった言葉を、飲み込む。


香織に対して、こんなふうに躊躇してしまうのは始めてだった。


香織は、好きな人ができたら話してくれるはず。


雄平のことを好きなのに、自分から話してくれなかったって知ったら、あたしは傷付いてしまうだろう。


それを怖れて、自分から聞くのをやめた。


ただ、それだけのこと。