きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




そして訪れた、体育大会当日。


女子と男子と交代で教室を使い、応援団は衣装を、それ以外は、みんなで作ったおそろいのTシャツ姿に着替えることになっていた。


先に教室を使うのは男子。


早い人は、もう済ませて廊下に出てきていた。


「わぁ!小野君かっこいー!」


「ほんと、似合うー」


そんな歓声が上がり、その向こうには、学ランに身を包んだ雄平がいた。


あたしを見つけた雄平が、どうだと言わんばかりの得意顔で近付いてくる。


「はいはい、似合ってるよ」


聞かれるより先に言ってやると、


「ここ、とめて」


甘えたように、白い手袋をつけた両手を差し出してきた。


手首までの長さがある手袋は、脇に小さなフックとボタンがついていた。


でもあいにく、あたしは両手にチアの衣装を抱えていて、手があいていない。


香織が遠慮がちに


「あたしがとめようか?」


と言い、


「まじ?さんきゅー」


雄平もうれしそうにとめてもらっていた。


「あれっ…こうでいいのかな?」


香織が手間取っていると、雄平が顔を寄せて、一瞬だけ二人の距離がものすごく近付いた。


「あ、ごめん」


雄平らしくもなく、どぎまぎとして、照れたように視線を漂わせている。


雄平が照れているところなんて、初めて見たかもしれない。


雄平は、あたしに同じことをしても、照れたりしない。


相手が、香織だから。


なぜだろう、胸にチクっと、小さな痛み。