きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




「杏奈ー!小野くーん!写真撮るよー!」


向こうで、美保が大きく手を振っている。


見ると、クラスメイトが集まっていた。


「行くぞ!」


「うん!」


雄平と笑顔を交わし、二人でみんなのもとへ走った。


「公衆の面前でイチャついてんじゃないわよー」


香織が寄ってきて、もとは雄平のものだったネクタイをつまむ。


一部始終を見られていたらしい。


香織の顔はすっきりしていて、雄平のことは吹っ切れていると言うように、笑ってくれた。


「香織、大好き!」


抱きつこうとするあたしの腕が、香織に阻止される。


「やだ、やめて」


そう言ったかと思うと、


「うそ!あたしも好きだよ!」


香織があたしに飛びついてきた。


ぎゅっと抱き合う。


これからは、当たり前みたいに毎日一緒にはいられなくなるけれど、この友情はずっと続いていくと、あたしは確信している。


卒業する前に、香織と本気でぶつかり合えてよかった。


もしあのことがなかったら、あたし達は、この卒業式が最後の別れだっただろう。


痛みを伴うものだったけれど、あたしは全てのことに、後悔はない。