きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




あたしは雄平の正面に回り込む。


「もしかして、焼きもち!?」


こんなこと、初めてだ。


雄平が初めて見せた一面に、あたしは状況も忘れてうれしくなる。


「今度こんなことあったら、許さねぇから」


口をとがらせてボソッと言う雄平を、たまらなくかわいく思う。


雄平を安心させたくて、


「わかった!あたしに触っていいのは雄平だけだから!」


思わずそんな言葉が飛び出すけれど、雄平の照れた顔を見て、自分の言葉の大胆さに気付いた。


「じゃあ、お言葉に甘えて…」


雄平があたしに手を伸ばしてきたので、あたしは慌てて後ずさる。


「ネクタイ!ネクタイ交換しよう!」


「ん?ああ、そうだな」


ネクタイをゆるめて、輪にしたまま頭から抜く。


雄平が自分のものをあたしの首にかけて、軽く締めてくれた。


三年間、雄平の首もとにあったものが、自分に巻かれていると思うと、なんだか照れくさい。


背伸びして雄平の頭に自分のネクタイの輪を通そうとした時、雄平はあたしを支えるふりをして、ほんの一瞬だけ抱きしめた。


慌てて飛びのくと、雄平はいたずらっぽく笑う。


そしてあたしの耳元に口を近付け、


「まじで、俺だけのものだから」


ささやくように、言った。