両手をかき集められて、雄平の両手にぎゅっと包まれる。
雄平の大きな手はあたたかくて、ドキドキするのに、ホッとするような、不思議な感覚だった。
雄平の顔を見る。
少し強張った表情が、大人びていて、素敵だと思った。
好きだな、と思った。
「杏奈…」
雄平の唇が動き、あたしの名前をささやき、
「好きだよ」
そう、言ってくれた。
「杏奈はちゃんと言ってくれたのに、俺、まだ言ってなかったから」
ふわっと表情を和らげた雄平は、少し恥ずかしそうで、かわいい。
「あたしも…」
“好き”
この前は言えたのに、改めて言おうとすると、なかなか言葉にならない。
胸がぎゅうっと圧迫されたように、苦しかった。
あまりの息苦しさに、涙が出る。
大切な一言を言うことが、こんなにも難しいなんて。
“好き”という一言の重さと尊さを、強く感じる。
「雄平…好き…」
泣き声のようだった。
雄平が大好きで、好き過ぎて、あたしは雄平の腕の中で、涙をたくさん流した。



