きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




動けなかった。


雄平が再びあたしの髪をすくい、指を滑らせる。


はらりと落ちてきた一束が、頬を撫でる。


その頬に、今度は雄平の指が触れた。


その瞬間、ピクリと体が反応する。


我に返ったように、心臓がドクドクと鼓動を速めていく。


雄平が、あたしの頬を撫でる。


苦しくて目をそらしてしまいたいのに、雄平の目に見つめられて、あたしは自由を奪われる。


雄平の瞳に、吸い込まれたみたいだ。


ふいに、雄平がふっと表情を和らげる。


そして、顔が近付いてきたかと思うやいなや、雄平の唇が、頬に触れた。


一瞬の出来事に、目を閉じる暇もなかった。


「ここは、また今度」


頬に触れた手の親指で、唇を撫でる。


カッと顔が熱くなる。


「ほんとは今したいけど」


雄平が、いたずらっぽく笑い、あたしはようやく雄平の呪縛から解放された。


座ったままお尻をずらし、雄平と距離を取る。


これ以上くっついていたら、本気で心臓が壊れそうだ。


熱くなる頬を両手で覆いながら、呼吸を落ち着けようとするけれど、


「杏奈」


雄平に呼ばれて、再び跳ねる。


「大事なこと言うの忘れてた。こっち来て」


そう言われて、しぶしぶ元の位置に戻る。