きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




小箱の中に入っていたのは、ネックレスだった。


あたしは、今までアクセサリーを身に着けたことがない。


それは、あたしのコンプレックスの表れだった。


自分に自信が持てず、女らしく振る舞えない自分には、そんな資格がないように思っていたし、何より照れくさかった。


アクセサリーを身に着けることは、あたしにとっては“成長”を意味する。


自分を磨き、そしていつか自信を持てた時、最初にまずネックレスを着けようと思っていた。


「杏奈は綺麗だから、これが似合うと思ったんだ」


そう言って雄平が手に取ったネックレスは、華奢で、ティアドロップをモチーフにしたシンプルなデザインだ。


大人っぽくて、あたしには背伸びし過ぎのように見える。


でも、雄平が似合うと言ってくれるのなら、それは何よりの自信になる。


「ありがと、うれしい」


雄平の手から、鎖が指にまとわりつくように滑り込んでくる。


ぎこちない手つきで金具をはずし、苦労して首の後ろで留める。


鎖骨の上にひんやりとした感触があって、なんだかくすぐったい。


「見せて」


雄平が、あたしの胸にこぼれた髪をすくうようにして、ネックレスを覗き込む。


「うん。似合うよ」


そう言って、優しく微笑んでくれた顔が思いのほか近くにあり、逃げるように体を後ろに傾けようとした。


でも雄平の手が肩を押さえ、それを阻止する。