「女子で一番速い杏奈と、男子で一番速い俺で、ラストをガーッと行って盛り上げる!っていうのが、俺達の作戦じゃん」
「だから、その“ガーッ”てのが…ま、そうだな。それがみんなで立てた作戦だもんな」
千葉の表情がやわらかくなり、やれやれという感じでため息をついた。
「まったく、小野には負ける」
小さく笑う千葉の肩に、雄平が腕を乗せる。
「だから千葉ちゃん、スキよん」
「やめろ、気持ち悪い」
いつの間にか、じゃれ合っている二人。
雄平は人と仲良くなる天才だ。
「雄平、ありがとね」
「ん?別に?」
何事もなかったかのような顔をしているのは、あたしに気を使わせないためだってわかっている。
優しいんだ、雄平は。
そう改めて感心していた矢先、
「じゃ、二人っきりで秘密の特訓しよっか」
耳元で、とびきり甘い声。
「はぁ!?」
あたしが飛び退くと、雄平はくくっと笑って、
「ばぁか、何期待してんの?バトン渡す練習、完璧にできるようになるまで帰さないからな」
前言撤回。
やっぱりこいつ、ただの意地悪。



