毎日教室で顔を合わせているのに、会えたことがうれしくなり、思わず駆け寄りたくなるのはどうしてだろう。
あたしが来たのを見てニコッと笑ってくれる雄平に、子犬みたいに尻尾を振って飛んで行きたくなる。
雄平は自分の横の床をペチペチと叩き、あたしに座るように促した。
雄平の隣に、当たり前に座れることに、改めて幸せを感じる。
少し離れて腰を下ろすと、雄平がお尻をずらして、あたしの方に寄ってくる。
肩が触れて、体が固まる。
雄平の視線を感じるけれど、とても顔を上げられない。
だって、今目が合ったら、顔が近すぎる。
きっと心臓が止まってしまう。
「杏奈…」
すぐ近くで聞こえる、雄平の声。
「やばい、俺、結構甘えん坊かも」
意外な言葉に顔を上げると、雄平は小さく笑った。
その顔がとてもかわいくて、胸がきゅっと縮む。
触れたい、と思った。
手を繋いでくれないかな、と期待した。
でも雄平は、思い出したように口を開く。
「そうそう、今日来てもらったのはね」
そう言って、体の陰に置いてあったらしい小さな紙袋を手に取った。
あたしは少し恥ずかしくなる。
自分の中に生まれた、大胆な感情に戸惑った。
男の子に触れたいなんて、思う日が来るとは、想像もしていなかった。



