きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




黒板の上の掛け時計を見て、雄平が言う。


「さてと、そろそろ行こうかな」


もうそんな時間かと、がっかりするあたし。


ドキドキさせられて苦しいのに、もっと一緒にいたい、ちぐはぐなあたしの心。


「杏奈の顔も見れたし、今日はがんばれるよ」


その言葉に、再び顔が熱くなる。


「あ、あた、し、も」


あたしも、雄平の顔を見られて、うれしかった、と言いたいのに、言葉にならない。


どうして雄平は、そんな照れくさい言葉を、さらりと言えるのだろう。


「はいはい、杏奈も俺に会えてうれしかったんだね」


あたしの言葉が雄平に代弁されてしまい、少し悔しい。


「また会いに来る。テスト、がんばろうな」


覗き込むようにして視線を合わせる雄平にドキドキして、返事の代わりにこくんと頷く。


あたしの肩を力強くポンポンと二回叩いて、雄平は教室を出て行った。


「うわっ!こんな所で何やってんだよ、宮下!」


廊下から、そんな声が聞こえたかと思ったら、


「試験会場で何やってんのよ。ラブラブすぎて見てらんない」


腰に手を当てて呆れ気味の香織が、教室に入ってきた。