きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




香織はトイレに行くと言って、そそくさと教室を出て行ってしまった。


気を使ってくれたのか、おもしろがって廊下から盗み見ているのかは定かではない。


「杏奈」


「はっはい!」


突然呼ばれて、思わず声を上げてしまう。


そんなあたしの反応を見て、くつくつと笑う雄平。


そして顔を寄せて、


「照れてんの?かわい」


耳元でささやくように言うので、顔から火が出たかと思った。


雄平こそ、試験の直前にこんなことをして、あたしの頭の中を雄平でいっぱいにしてしまう。


「落ちたら雄平のせいだからねっ」


悔し紛れに、雄平の腕を叩く。


「杏奈なら大丈夫だよ」


そう言って、ポンっと軽く頭を叩く。


それだって、あたしの心を騒がせるというのに。


キッとにらむけれど、雄平は優しい顔であたしを見る。


その顔に、あたしはまたドキドキする。


こんなに胸が速く打って、試験の前に息切れしてしまいそうだ。