目からあふれてしまった涙が、頬を伝う。
涙と一緒に、雄平への想いがあふれ出す。
雄平の手をぎゅっと握り直す。
もう、抑えられない。
「好きだよ…」
言ってしまった。
とても、とても、小さな声。
でも、雄平には、ちゃんと届いた。
立ち止まって、びっくりした顔で、泣き顔のあたしを見ている。
そして、呆れたように言った。
「お前、普通、試験の前日に言うか?」
「あ…忘れてた…」
「ばぁか」
手袋であたしの頬の涙を乱暴に拭いて、その手が背中に回される。
両腕で包むように、ぎゅっと抱きしめてくれた。
お互いの上着の厚みで、もこもこと柔らかな感触が心地良い。
「お前のことで頭いっぱいになるだろー。まともに試験受けらんねぇよ。落ちたらお前のせい」
冗談めかして言う雄平の背中に手を回すことは、照れくさくてできなくて、代わりに雄平の上着の裾をきゅっと掴む。
「落ちたら、あたしも一緒に滑り止めの私立行く」
本気でそう言う。
雄平と離れるなんて、考えられない。
「ばぁか。かわいいやつ」
抱きしめられているせいで、くぐもって聞こえる雄平の声。
再び頭に乗せられた雄平の手が、あたしの髪を優しく撫でる。
あたしは気付く。
雄平にこうして頭を撫でられることが、とても好き。
うれしくて、あたたかくて、幸せな気持ちで満たされる。
涙は次から次へと流れ出す。
幸せな涙を、初めて知る。
それはとても温かく、優しいものだった。



