きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




目からあふれてしまった涙が、頬を伝う。


涙と一緒に、雄平への想いがあふれ出す。


雄平の手をぎゅっと握り直す。


もう、抑えられない。


「好きだよ…」


言ってしまった。


とても、とても、小さな声。


でも、雄平には、ちゃんと届いた。


立ち止まって、びっくりした顔で、泣き顔のあたしを見ている。


そして、呆れたように言った。


「お前、普通、試験の前日に言うか?」


「あ…忘れてた…」


「ばぁか」


手袋であたしの頬の涙を乱暴に拭いて、その手が背中に回される。


両腕で包むように、ぎゅっと抱きしめてくれた。


お互いの上着の厚みで、もこもこと柔らかな感触が心地良い。


「お前のことで頭いっぱいになるだろー。まともに試験受けらんねぇよ。落ちたらお前のせい」


冗談めかして言う雄平の背中に手を回すことは、照れくさくてできなくて、代わりに雄平の上着の裾をきゅっと掴む。


「落ちたら、あたしも一緒に滑り止めの私立行く」


本気でそう言う。


雄平と離れるなんて、考えられない。


「ばぁか。かわいいやつ」


抱きしめられているせいで、くぐもって聞こえる雄平の声。


再び頭に乗せられた雄平の手が、あたしの髪を優しく撫でる。


あたしは気付く。


雄平にこうして頭を撫でられることが、とても好き。


うれしくて、あたたかくて、幸せな気持ちで満たされる。


涙は次から次へと流れ出す。


幸せな涙を、初めて知る。


それはとても温かく、優しいものだった。