きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




二人並んで、ゆっくりと石段を下りる。


「緊張するなー」


白い息を吐きながら、雄平が言う。


「大丈夫だよ。がんばったもん」


「そうだよな!」


特に雄平は、志望校のレベルを何ランクも上げるほどに勉強した。


それだけに本番は心配になるのだけれど、雄平なら大丈夫だと、なぜだか確信できる。


「杏奈、あそこ行かない?」


雄平が言う。


それがどこを指すのか、すぐにわかった。


夏祭りの日、ホタルを見せてくれた場所だ。


「うん!」


街灯が届かなくなって、あたしはポケットから、あの鈴を取りだした。


チリン。


あたしの場所が、雄平にわかるように。


「それ、まだ持っててくれたの?」


雄平がうれしそうに笑ってくれたから、あたしは素直になれる。


「持ってたら、雄平が絶対、見つけてくれるから…」


言った途端、恥ずかしくなってしまったけれど、


「見つけるよ。でも…」


雄平はあたしの手を取って、


「こうすれば、最初から見失わない」


手袋の上からでも、伝わってくる雄平のぬくもり。


手を繋いだまま、ゆっくりゆっくり歩く。


じんわりと、涙がにじんできた。