二人並んで、ゆっくりと石段を下りる。
「緊張するなー」
白い息を吐きながら、雄平が言う。
「大丈夫だよ。がんばったもん」
「そうだよな!」
特に雄平は、志望校のレベルを何ランクも上げるほどに勉強した。
それだけに本番は心配になるのだけれど、雄平なら大丈夫だと、なぜだか確信できる。
「杏奈、あそこ行かない?」
雄平が言う。
それがどこを指すのか、すぐにわかった。
夏祭りの日、ホタルを見せてくれた場所だ。
「うん!」
街灯が届かなくなって、あたしはポケットから、あの鈴を取りだした。
チリン。
あたしの場所が、雄平にわかるように。
「それ、まだ持っててくれたの?」
雄平がうれしそうに笑ってくれたから、あたしは素直になれる。
「持ってたら、雄平が絶対、見つけてくれるから…」
言った途端、恥ずかしくなってしまったけれど、
「見つけるよ。でも…」
雄平はあたしの手を取って、
「こうすれば、最初から見失わない」
手袋の上からでも、伝わってくる雄平のぬくもり。
手を繋いだまま、ゆっくりゆっくり歩く。
じんわりと、涙がにじんできた。



