きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




ガコン。


二本目が落ちて、雄平はかがんでそれを取る。


「雄平は?模試。ていうか、志望校ってどこなの?」


階段に座りながらプルトップを開けて一口含んでから、ニッと笑う。


「俺も北高」


その返事に、あたしはぽかんと口を開けてしまう。


同じ高校?


そんな、まさか。


もちろんうれしいけれど、雄平はそんなに成績が良くなかったはず。


「そんな心配そうな顔すんなって!やっとA出たんだから」


晴れやかな雄平の顔を見て、


「うそ!」


思わず声を上げる。


「“嘘”って、おい。ひどくねぇ?」


おかしそうに笑う雄平。


今の“うそ!”は、うれしさのあまりに出た言葉なのだけど、そんなことは言えるはずもない。


「A出たんだ!やったね」


雄平の隣を一人分くらいあけて、あたしも階段に腰を下ろした。


ひんやりした感触に一瞬体が震えたけれど、雄平がくれた缶コーヒーの温もりが、あたしを包む。