ガコン。
二本目が落ちて、雄平はかがんでそれを取る。
「雄平は?模試。ていうか、志望校ってどこなの?」
階段に座りながらプルトップを開けて一口含んでから、ニッと笑う。
「俺も北高」
その返事に、あたしはぽかんと口を開けてしまう。
同じ高校?
そんな、まさか。
もちろんうれしいけれど、雄平はそんなに成績が良くなかったはず。
「そんな心配そうな顔すんなって!やっとA出たんだから」
晴れやかな雄平の顔を見て、
「うそ!」
思わず声を上げる。
「“嘘”って、おい。ひどくねぇ?」
おかしそうに笑う雄平。
今の“うそ!”は、うれしさのあまりに出た言葉なのだけど、そんなことは言えるはずもない。
「A出たんだ!やったね」
雄平の隣を一人分くらいあけて、あたしも階段に腰を下ろした。
ひんやりした感触に一瞬体が震えたけれど、雄平がくれた缶コーヒーの温もりが、あたしを包む。



