首をかしげるあたしを前に、香織はあきれたように息をひとつ吐き出すと、
「彼、杏奈に一目惚れしちゃったかもよ?」
「はぁ!?」
まさか、それは、うぬぼれすぎだ。
でも、
「あ、そういえば。『一年生でも男は男』とかなんとか、雄平が…」
「ほら!男の子から見てもそうなんだよ。決まりだね!」
なぜかうれしそう、というか、完全におもしろがっている香織。
一目惚れ…か。
悪い気はしないけれど、年上の女の人に突然触られて、驚いただけのようにも思う。
あたしが気になるのは、雄平の言葉。
独り言の中に聞こえた“ライバル”という単語。
どういう意味?
雄平は、香織が言うように、将太君があたしに一目惚れしたと思っている?
そして、あたしに一目惚れをした将太君が、ライバル?
誰の?
自分の?
あたしに一目惚れした将太君が、雄平のライバル?
それってつまり…
「ない!ないない!さすがにそれはないよ!」
あたしは首を横に振って、おかしな考えを追いやろうとする。
それこそ、大きなうぬぼれだ。
しかも、勘違いだったら相当恥ずかしい種類の。
「おーい、そこ!動きずれてる!」
「ぎゃあ!ごめんなさい!」
雄平の怒鳴り声が飛んできて、思わず叫ぶあたしと、クスクス笑うクラスメイト達。
恥ずかしすぎる。



