きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




チョコレートを贈ることは、すなわち愛の告白。


義理だと言って押しつけてしまおうか、と考えていると、


「義理だとか言っちゃだめだからね、絶対!」


香織にきつく念を押された。


何もかもお見通しの香織。


迎えたバレンタインデーの放課後、香織に送り出され、チョコの入った小さなバッグを抱えて、あたしは雄平を探す。


受け取ってもらえなかったらと考えると、足がすくむ。


香織は「大丈夫」だと言ってくれるけれど、もし駄目だったら、あたしは立ち直れないかもしれない。


雄平は書道教室にいた。


放課後は受験生の自習用に開放されていて、いつも机はいっぱいになっている。


雄平は、一番後ろの窓側。


いつからか勉強に本腰を入れ始めた雄平は、毎日一番最初に書道教室に行って勉強を始めていた。


毎日、意味もなくこの廊下を通って、中を覗き見る。


一瞬だけ見える、雄平の真剣な横顔に、ドキドキしていた。


ストーカーのようなあたし。


自分でもあきれる。