きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




そして将太君は、照れくさそうに言う。


「俺のこと、嫌わないでくれてありがとう。あんなことしたのに…」


体育大会でのことだ。


そういえば、そんなこともあった、と思えるほど、あたしの心の傷は、すっかり癒えていることに気付く。


倒れた将太君を心配して保健室に行ったら、押し倒されてしまった。


本当に怖くて、男性恐怖症になってしまうかと思ったけれど、将太君の誠意のおかげで、そうならずに済んだ。


でもあたしは意地悪を言う。


「ほんと、あれは怖かったよ。今後気をつけてね、犯罪者にならにように!」


「はい…気をつけます…」


頭を下げる将太君の姿を見て、思わず笑ってしまう。


こうして何度も二人で笑い合ったことは、確実にあたしを救ってくれた。


将太君は、あたしにとって、かけがえのない存在だった。


だから言う。


「あたしのこと、好きになってくれてありがとう」


あたしのかわいい後輩。


卒業しても、ずっと忘れない。


その明るい笑顔を、決して忘れない。