「雄平、一年生相手に何やってんの」
あたしは腰に手を当てて、雄平をにらむ。
「あ、いや、言うこときかないから怒鳴ったんだけど。…なぁ、杏奈」
「何よ」
「一年生でも、男は男だ」
「は?何言ってんの?」
「いや、気付いてないならいいんだ。またライバルが増えたか…」
雄平は腕組みしてうなりながら、ぶつぶつ言っている。
「え?今、なんて…」
あたしが問いかけようとすると、雄平はみんなの方に向き直り、手をパンパンと叩いて注目を促した。
「さ、練習再開!並んでー。ほら、杏奈も!」
腑に落ちないけれど、今はおとなしく元の場所に戻るしかない。
「もう、意味わかんない」
ぶつぶつと文句を言っていると、香織がひそひそと声をかけてくる。
「ねぇ、あの子」
香織は将太君の走り去った方を見ているので、
「将太君、だって」
さっき覚えたばかりの名前を、忘れないうちに教える。
「将太君、杏奈見て真っ赤になってた。かわいー」
いつものクスクス笑い。
「ね、なんなんだか。確かにかわいい子ではあったけど」
「え?杏奈ってば、気付いてないの?」
「何が?」
…あれ?
同じようなやりとりを、ついさっきしたような。



