きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




あたし達が過ごした数ヶ月が、偽物だとは思えない。


あたしは香織と過ごした日々を思い出す。


本気で笑い合っていた日々を。


香織は、気の合うふりをしていたと言ったけれど、全部が全部そうだったとは思えない。


いつも一緒にいた。


嫌いな相手と、四六時中一緒にいることなんてできる?


あたしは信じる。


香織が何と言っても、あたし達はちゃんと、友達だった。


「ねえ、香織はまだ、雄平のこと、好き?」


そっと香織に歩み寄る。


視線を落として、じっと一点を見つめる香織に、もう一度問う。


「好き…なんだよね」


香織は顔を上げて、あたしを見た。


かすかに揺れるその目からは、冷たさも強がりも消えて、


「好き…」


とても綺麗な、恋をする目だった。


「あたしも、雄平のこと…」


“好き”


その一言が、言えなかった。


本人に告白するわけじゃないのに、胸がぎゅっと締めつけられるように苦しくて、言葉にならない。


でも香織はわかってくれた。


それは、あたしと香織が、親友だから。


「そんなの、とっくに知ってる。ばか」


“ばか”…に愛情を感じたあたしは、本当に馬鹿なのかもしれない。


でもあたしは、そんなあたしが嫌いじゃない。