きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




長くため息をつき、香織は再び口を開く。


「みんな、だらしないよね。千葉君も、将太君も」


「え…?」


またしても、突然出てきた名前に戸惑う。


「どっちかがモノにしてくれると思ってたのに。期待はずれ」


二人のことも、思い通りにしようとしていたの?


香織の手がどこまで及んでいたのか、底が知れず、背筋が冷たくなる。


「噂もうまく流せたのに、残念」


やっぱり、雄平と香織がつきあっているという噂を流したのは、香織だった。


それは、あたしを雄平から遠ざけるためだろう。


そして、傷付いたあたしを将太君か千葉君が救い、あたしも惹かれていくというのが、香織の策略だった。


「将太君はまだまだ子供だけど、千葉君はいい男だと思うよ。あたし次、狙っちゃおうかな」


香織はそう言って、意地悪に笑う。


でも、その顔は、きっと嘘だ。


香織はきっと、本当に雄平が好きだった。