きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




香織はあたしをまっすぐに見る。


「好きなんでしょ?どうして付き合わないの?」


香織の声が、だんだんといらだってくる。


「雄平君のことが好きな子はいっぱいいるのに。せめて杏奈と付き合い始めたら、報われない片思いは減るのに。思わせぶりなだけ?雄平君のことを、そばに置いておきたいだけなの?」


その言葉に、カッとなる。


『そばに置いておく』だなんて、そんな、物みたいに思ったことなんてない。


「違う…!」


もし本当に、雄平が以前からあたしを想っていてくれたとしても、あたしはそれに気付くことができなかった。


そして、あたしが雄平を好きだということに、気付くのが遅すぎた。


「それも、自覚ないんだよね。わかってた。だから、杏奈ってムカつくんだ」


その冷たい目の奥にあるのは、憎しみ?


「だから、嫌いなんだよ」


ぐさりと突き刺さる言葉に、心が痛い。


…ううん、違う。


痛いのは、あたしの心じゃない。


香織の心だ。


なぜだか、そう思った。


あたしより、香織の心の方が、ずっと痛い。