きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




「どうしてそんなことをしたかっていうとね」


香織の言葉に、ごくりと唾を飲む。


「理由は、雄平君」


突然出てきた名前に、肩がピクリと動く。


「あたし、一回告白してるんだ。二年の時に」


胸がきゅっと縮む。


あたしの知らないところで、そんなに前から、二人は繋がっていた。


「でも、フラれたの」


その言葉に、再び心臓が反応する。


今度は、純粋な驚きだった。


「フラれた…?雄平が、香織をフッたの?」


こんなにかわいくて、たくさんの人から告白されているような子を、雄平がフッただなんて。


雄平は、馬鹿だ。


「あたし、ちょっと調子に乗ってた。何人もの男の子に告白されて、みんながあたしのこと好きになってくれる気がしてた」


香織は本当にかわいいし、性格も明るくて優しいし、みんな香織を好きになると、あたしだって思う。


「悔しかったぁ。人生で初めてフラれたんだもん。だから執着しちゃったのかな。雄平君は何とも言わなかったけど、すぐ気付いた。杏奈の存在」


「あたし…?」


なぜ、ここで自分の名前が出てくるのか、わからなかった。


香織の言葉を、信じることなんてできない。


「ねえ、本当に気付いてないの?雄平君は杏奈のことが好きなんだよ」


そんなこと、思えるわけがなかった。