あたし達のクラス、二組は、応援団長の雄平を中心に団結し、下級生を交えた練習もスムーズに進んでいた。
でも、問題が起こらない方がおかしいもので。
「ちっ、威張ってんじゃねーよ、三年が!」
一年生の男子がキレた。
声変わりもまだの高い声が、鋭く響く。
人と人との間に姿を捉えると、まだずいぶん小さい体で、図体のでかい雄平に立ち向かっている。
すごい度胸だ。
「大丈夫かな…」
香織が心配そうにあたしにすがってくるので、仕方なく雄平をなだめに走る。
「ちょっと、雄平。どうしたの?」
突然割り込んできたあたしに、敵意むき出しの少年が声を上げる。
「女は引っこんで、ろ、」
けれど、なぜかあたしの顔を見て固まってしまった。
「え?何?」
大きな目がまん丸になってる。
知っている子?…ううん、見覚えはない、少なくとも、あたしには。
細い体に短い髪、勝気な瞳、まるで一年生の頃の雄平みたいだ。
いや、雄平よりもかわいい。
それはあたしが年上だから、そう感じるのだろうか。
なんだか優しい気分になって、
「とりあえず、落ち着こう。ね?」
彼の上がった肩に手を置いた。
途端、
「さ、触るなっ」
そう言ったかと思うと、少年は一目散に走り去った。
クラスメイトと思しき下級生達が、
「将太ーどこ行くんだよー」
と呼んでいるが、届いていない様子だ。
将太君、か。
また雄平と衝突しないといいけれど。



