一度認められてしまうと、疑いは突如として大きく膨れ上がる。
渦巻いていたものが爆発し、拡散していくように、頭の中で色々な声が飛び交う。
あたしが見たのは、手を繋いでいたところだけ。
でも、顔を寄せたように見えた。
そしてあの夜、いつまでも部屋に戻ってこなかった香織。
二人はずっと一緒だったの?
何をしていたの?
雄平の言う、『甘えてしまった』というのは、どういうこと?
雄平と香織との間には何があったのだろう。
でもそれを知ってはいけない。
知ったらあたしは、壊れてしまう。
「杏奈…!?」
雄平が驚いたように声を上げて、あたしは現実に引き戻される。
目の前に、心配げな表情をした雄平がいる。
どうして、そんなに悲しい顔をしているのだろう。
「泣くなよ…」
泣く?
誰が?
雄平の手が伸びてきて、あたしの頬に触れる。
そして、拭うように指を動かす。
ひんやりとした感覚で、ようやく気付く。
いつの間にか、あたしは泣いていた。



