ふっ…と雄平が小さく笑い、言う。
「何で、こんな嘘ばっかりなんだろうな」
意味を飲み込めずにいると、雄平は立ち止まった。
そしてあたしに向き直り、まっすぐに目を見て、言った。
「俺、宮下と付き合ってないよ」
嘘は、ついていない。
雄平の目を見ればわかる。
それなのに、どうして今まで、確かめようとしなかったのだろう。
噂なんて信じてしまったのだろう。
…違う。
噂だけでそう思い込んでいたわけではない。
あたしがあの夜に見たものが、噂を裏付けた根拠だった。
「あたし、見ちゃったんだ。修学旅行の夜、香織と雄平が二人で…いるのを」
手を繋いで、ということは、辛くて言えなかった。
でも雄平には、あたしが何を見たのかわかったようだった。
「俺、最低だよ。あの時、すごいへこんでて…」
視線を落として、顔を歪める。
「そばにいた宮下に、甘えてしまった」
頭の中が、ぐらりと揺れた気がした。
一瞬、視界が暗闇に包まれたような錯覚に陥る。
聞きたくなかった。
認めて欲しくなかった。
あたしはどこかで、あれが何かの間違いであってほしいと、期待していたのかもしれない。



