会場を早く返した方がいいと思ったのと、密室では落ち着かないのとで、あたし達はカラオケボックスのオーナーにお礼言って、外に出た。
昼からのパーティーだったけれど、既に陽は落ちて、辺りはすっかり暗くなっていた。
ひんやりとした冬の空気が、上気した頬に心地良い。
商店街を抜けて、街灯だけが頼りの住宅地を、ゆっくりと歩く。
しばらくは二人とも、無言だった。
空を見上げると、澄んだ空気の向こうに、いくつもの星が瞬いている。
綺麗だった。
「おー!星がすげー」
雄平も、あたしと同じ瞬間に、あたしと同じように空を見上げていた。
たったそれだけのことなのに、胸がくすぐったくなる。
ほんのり頬の赤い雄平の横顔と、うっすら白い息。
あたしだけが見ている、雄平だ。
ふいに、雄平がこちらを向いて、あたしは慌てて視線をそらす。
「あのさ…」
雄平が口を開く。
「うん」
あたしは前を向いたまま、小さく頷く。
「さっきの、本当?千葉と、付き合ってないって…」
「うん、本当」
近い将来、きっと好きになるだろうと、付き合うだろうと思っていたけれど。
「千葉がフラれたっていうのも?」
「…うん」
それは、あたしが雄平を好きだと気付いてしまったから。
「じゃあ、あいつは?あの一年」
「将太君?付き合ってないよ」
あたしは、彼の優しさを利用してしまっただけ。
「そっか」
雄平は、確かめるように、何度か小さく頷いた。



