「誕生日みたいだね」
ケーキを見ながら、隣で香織が笑う。
「ほんとだ」
応えるけれど、うまく笑えていたかわからない。
香織…。
千葉の予想は、正しいの?
間違いだと言ってほしい。
香織がでたらめの噂を流すなんて、嘘をつくなんて、疑うことさえしたくない。
香織は大切な友達だから。
でも、もしかして、そう思っているのは、あたしだけ?
修学旅行の後から、あたしは香織と距離を置いていた。
そうしないと、辛かったから。
でも、そうなってもあたしに深入りしてこなかった香織は、それを受け入れたということだろうか。
一番の友達の態度がよそよそしくなったら、あたしならどうする?
『どうしたの?何かあった?あたし、何かした?』
そんなふうに、問い詰めたりしないだろうか。
香織は、平気だったの?
あたしがよそよそしくなっても、何も感じなかった?
友達なのに?
…駄目だ、こんなことを考えるのはよくない。
きっと混乱しているせいだ。
あたしは悪い考えを追い払うように、頭を軽く振る。
カラオケから“きよしこの夜”が流れ、照明が絞られる。
その厳かな雰囲気と、ロウソクの火が幻想的で、涙が出そうになった。



