洞察力の鋭い千葉の口から、それを聞きたくなかった。
あたしの心の中に生まれた疑念に、説得力を持たせないでほしかった。
「悪い、軽々しく言うことじゃないな」
千葉はくしゃくしゃと頭をかき、長く息を吐いた。
「でも…」
再び口を開いた千葉。
あたしは体を強張らせる。
これ以上、何を言うの?
「もしそうなら、小野と宮下が付き合ってるっていう噂の信憑性は、一気に下がる」
千葉は、最初から、雄平と香織が付き合っているという噂を疑っていた。
「その噂を、宮下が流した可能性が、高くなる」
それが、確信へと変わるというの?
「何のために…?」
声がかすれる。
混乱して、何が何だかわからない。
「宮下が小野のことを好きなら、願望を噂にしてしまったとも考えられるけど…。でも、それだけとは思えない」
香織はあたしに、雄平のことが好きだと打ち明けてくれていた。
付き合いたいという願望が、形を変えて噂となり、一人歩きしてしまったという可能性は、辛うじて理解できる気がした。
でも、千葉の言う、“それだけとは思えない”とは?
千葉はいったい何を考えている?



