きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




しばらく、誰も何も言わなかった。


やがて司会の森がやってきて、クリスマスケーキの準備をするからと言って、雄平を連れて行ってしまった。


「完全に誤解してたな」


千葉がそう言い、ため息をつく。


「俺達が付き合ってるなんて噂、あったのか。伊田、知ってた?」


あたしは首を横に振る。


耳にしたことはないし、誰かに千葉とのことを聞かれることもなかった。


むしろ、ほとんどの人には将太君と付き合っていると思われている。


学校でも度々二人で話をするし、文化祭も一緒に回っていたから、無理もない。


でも、千葉のことは、心当たりが全くない。


あたしと千葉との間にあったことは、香織にしか話していない。


香織にしか。


じわじわと、鼓動が速くなっていく。


確かに、香織しか知らない。


でも、だからといって、香織が雄平に何か言ったことにはならない。


特に修学旅行中、あたしと千葉が親しげに話しているのを見た人が、そう誤解して、それが噂になったということも考えられる。


決まったわけじゃない。


香織が雄平に、あたしと千葉が付き合っていると嘘をつき、それを雄平が信じていたと、決まったわけじゃない。


「勝手な予想だけど」


千葉が口を開く。


「宮下が絡んでるなんてこと、ないよな」


ドクンと心臓が脈打つ。


「そんなわけない…!」


思わず声を上げていた。