あたしと千葉の向かい側、テーブルをはさんだ椅子に、雄平が座った。
「楽しそうに、何の話?」
雄平が、オードブルのウインナーをつまみながら言う。
「小野、知ってた?伊田ってとんでもない小悪魔なんだよ」
くくっと笑う千葉。
「ちょっ…!だから、それは…」
あわてて遮ろうとするあたしを無視して、
「へぇ、どんな?」
雄平が食いつく。
まさか、千葉がこんなことを言うと思わなかった。
「こいつ、俺のことフッたくせに、誘惑してくるんだよ」
「千葉!!」
あたしは千葉を思い切りにらむ。
けれど、どこか楽しげな視線を返してくるだけ。
いったい、どういうつもりなのだろう。
雄平には知られたくなかった。
あたしと千葉の間に何があったというわけではないけれど、千葉とのことを、他の男の子とのことを、雄平にだけは知られたくなかった。
雄平は、どんな反応をする?
怖くて、雄平の顔を見ることができない。
平気な顔を見せられても辛いし、おもしろがられるのも辛い。
「フッた…?」
やがて聞こえてきた雄平の声は、少し強張っていた。



