きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




雄平が一歩前に出て、あたしの隣に来た。


「よ!杏奈」


「なんだー。雄平かぁ」


照れ隠しに憎まれ口をたたいてしまう、かわいくない自分が憎らしい。


雄平が差し出した手に、自分の手を重ねる。


そして、横に並ぶ。


しっかりと手を握ってくれるところが、雄平らしい。


恥ずかしがって、ほとんど触れているだけの男の子が多いのに。


キャンプファイヤーの炎のせいか、花火の夜を思い出す。


こっそり二人で抜け出して走った時も、手を繋いでいた。


あの頃と、色々なものが、変わってしまった。


一歩足を進める度、雄平の腕が肩に触れる。


「綺麗だな…」


音楽にかき消されてしまいそうに小さな声が、耳元で聞こえた。


雄平を見上げる。


雄平は、まっすぐにキャンプファイヤーを見つめていた。


炎が目の中をゆらゆらと揺らす。


雄平も、あの夜を思い出している?


みんなでやった花火を。


二人で見た、ホタルを。