はしゃぎ合いながら遠ざかっていく二人の背中を、ぽかんとしながら見送っていると、将太君が言う。
「杏奈の名前は、一年生にまでとどろいてるんだよ」
「え!なんで!?やだな、恥ずかしいよ」
どういう意味でとどろいているのか理解する前に反射的にそう言うと、将太君は笑う。
「恥ずかしいの?普通、うれしいでしょ。まぁでも、そういうとこが杏奈の良いところなのかも」
なんだか聞いたことのあるような言葉。
「美人でかっこいいって、女子も言ってるんだから」
顔が熱くなる。
あたしの知らない所で、あたしのことをほめてくれているなんて、ものすごく照れくさい。
「照れてる?かわいいなぁ」
将太君はあたしの顔を覗き込んで、頭をくしゃくしゃと撫でる。
「俺、杏奈に会えてよかったよ。杏奈を好きになってよかった」
少し淋しげに響いた声に、顔を上げる。
なんだか、これで最後みたいな言葉だ。
悲しくなる。
「ありがとね、将太君」
今、言わなくてはと思った。
好きになってくれて、ありがとう。
将太君は照れくさそうに微笑んでくれた。



