きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




最終的には、お化け役の子を捕まえて、八つ当たりしていた。


「将太君のためのお化け屋敷だったね」


「もーやだ。かっこわりぃ」


少し呼吸を乱しながら、出口の外で、壁に張り付いて顔を隠す将太君。


「楽しかったよ」


そう言って、あやすように背中をポンポン叩いていると、


「あ!将太じゃん。彼女?」


男の子二人が声をかけてきた。


将太君の友達の一年生だろうか。


振り返ると、


「え、あ、伊田先輩!?」


二人ともあたしの顔を見るなり、慌て始める。


あたしのことを知っているようだけど、あたしは見覚えがない。


「うそだろ、将太。伊田先輩と付き合ってんの!?」


興奮気味の男の子二人。


将太君はあたしの肩を抱いて、自慢げに言う。


「いいだろー」


あたしはその腕からするりと抜け出して、


「違います」


きっぱりと言う。


けれど、


「すげぇ…。将太のこと見直したよ」


「おまえってすごい奴なんだな」


なぜか感心している二人。


そしてなぜか、あたしに握手を求める二人。


「俺、マジで伊田先輩のファンなんです。感激っす」


あたしが差し出した右手を両手でしっかりと握りながら、そんなことを言われた。


「あ、ありがとう」


どういう反応をしたらいいのかわからず困惑しながらも、もう一人とも握手をする。


「ありがとうございます!!」


二人は深々と頭を下げて、将太君に、


「すげぇじゃん!」


「がんばれよ!」


などと言いながら、去っていった。