体育館に行き、並べられたパイプ椅子に座った。
ステージでは、ダンス部が音楽に合わせて踊っている。
暗幕が下りた体育館には、色とりどりのスポットライトの光が飛び交っていて、いつもとは全くの別世界だ。
将太君にもらった飴が少なくなってきて、パリパリと噛み砕いていると、膝に乗せていた左手にぬくもりを感じた。
将太君に手を握られ、そのまま指をからめて二人の間にぶら下げられる。
将太君の顔を見ると、表情を変えずに、前を向いたままだった。
照れくさそうに笑うことも、甘えたような目で見てくることもなく、口をきゅっと結んで、ステージを見つめている。
いつものように振り払うことを、有無を言わせずさせないような雰囲気だった。
大人っぽい横顔と、からめた指の熱さが、あたしの胸をドキドキさせる。
このまま、将太君を好きになってしまいたかった。
手を繋いでいれば好きになれるのではないかと、馬鹿な期待をしていた。
ステージの上に視線を戻す。
お揃いのタンクトップとハーフパンツに身を包んだ五人の男女が、全身をいっぱいに使い、笑顔で踊っていた。
全力で、この時間を楽しんでいるようだった。



