きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




おもしろい写真が、教室の壁にたくさん加わった。


雄平の、みんなの、楽しそうな顔。


見ていると、幸せな気分になる。


「伊田。プレゼント」


千葉が帰りがけにそう言って差し出してきたのは、ポラロイドカメラで撮った写真だった。


全部壁に貼ったと思っていたのに。


受け取って見て、驚いた。


そこに写っていたのは、笑い合う、雄平とあたし。


楽しそうで、仲が良さそうな、二人。


あたし、こんな顔で雄平を見ていたんだ。


それは、恋する女の子。


あたしはまだ、雄平のことが好きでたまらないという顔をしている。


「小野にはちゃんと言った?」


千葉が、小声で問う。


「ううん…。だって、雄平は香織と付き合ってるんだよ」


そう言うと、千葉は少し考え込んでから、さらに声をひそめる。


「それって、本当なのか?」


意味が、わからなかった。


雄平と香織が付き合っているというのが、本当かどうかなんて。


「どういう…意味…?」


声が少し震える。


確かに、本人に聞いたわけではなかった。


香織からも、雄平からも。


でも、あの夜、手を繋いでいる二人を、あたしは確かにこの目で見た。


クラスのみんなだって、あの二人が付き合っていると噂している。


噂…?


ただの、噂なの…?


「確かめたわけじゃないけど、俺は、噂が間違っていると思ってる」


千葉は、言った。


その目は真剣で、とても適当なことを言っているようには見えなかった。