文化祭は二日間行われる。
あたしがクラスの受付担当になったのは一日目の午後だったけれど、午前中もずっと教室にいた。
恵が午前中に当番が当たっていて、試し撮りと称してみんなで写真を撮って遊んでいたのだ。
美保も香織も一緒で、ふざけてかぶり物をかぶったり、女同士で抱き合ってみたり、色々な写真を撮った。
ペンで落書きをして、教室の壁に貼っていく。
「後で小宮と撮ってあげるからね。あたしの当番の時に、二人でおいでよ」
そう言うのは、ニヤニヤ顔の美保。
恵も、照れながらもうれしそうに笑って頷く。
当然ながら小宮と一緒に回る約束をしている恵は、さっきから時計が気になるようだ。
香織は、雄平と約束をしているのだろうか。
普段は照れくさくて学校で一緒に過ごさないカップルも、文化祭だけは一緒にいるのがお決まりのことだ。
香織と雄平は、一緒に写真を撮りにくるだろうか。
もしそうだとしても、あたしが担当になっている今日の午後だけは、やめてほしい。