「彼氏いるのに、困るよね…」
将太君の声で、我に返る。
「え…?彼氏って…」
「あの人、応援団長。いつも、杏奈のこと守ってる」
雄平のことだ。
確かに、将太君との間には、いつも雄平がいてくれた。
将太君がそう思っても仕方のないことだ。
「雄平は、彼氏なんかじゃないよ」
そう言うと、
「え…え!?」
将太君はようやくあたしの体を離し、目を丸くしてあたしの顔を覗き込んだ。
「違うんだ!?え!?じゃあ、他につきあってる人は?」
「いないよ」
「マジで!?なんだよー!」
将太君は、再びあたしを抱きしめた。
今度はぎゅっと力強く。
「杏奈、俺を彼氏にして」
ちょっと甘えたような声が、耳をくすぐる。
「俺、杏奈が好き。めちゃめちゃ好き。杏奈の一番になりたい」
どうしよう。
なんだか、すごくうれしい。
将太君のこと、かわいいって思ってしまう。