変な考えを追いやろうと、将太君に話しかける。
「背、伸びたよね。声変わりも」
将太君は、もう飲み干してしまった缶を、ゴミ箱に捨てた。
「もう杏奈より大きくなったよ」
将太君はあたしに近付いて、背比べをするように頭の上に手をかざす。
あたしの視線はだいたい将太君の鼻くらいだけど、まだそんなに身長差がない。
だから、視線が絡まる。
至近距離で見る将太君は、やっぱりかわいい顔をしていた。
肌が綺麗。
まだ、ヒゲはあまり生えてこないんだな…なんて考えながら、見とれてしまった。
「杏奈…」
ささやくように呼びかけられて、ようやく気付く。
今の状況に。
至近距離で見つめ合うふたり。
しかも相手は、前科一犯。
やばい、と思った時には遅かった。
将太君の顔が近付いた。
今度こそ、キスされる。
あたしのファーストキスが、奪われてしまう。



