将太君は、首にかけたスポーツタオルで額の汗を拭きながら言う。
「俺うまかったでしょ?めっちゃ練習したもん」
まるで小さな子がお母さんに自分のことを自慢するような物言いに、思わず頬がほころぶ。
姿は大人に近付いても、やっぱり将太君は将太君だ。
「うん。すごかったよ、スパイク」
大きく頷くと、将太君は、へへっと笑う。
「だからさぁ。ジュース買ってー」
「は!?何でよ」
甘え方が雄平に似ていたから、思わず同じように返してしまい、きつい口調になってしまった。
将太君は気にする素振りは見せず、
「じゃあ優勝したら買って」
ちょっとすねたような顔をしてみせる。
「優勝って、一年生には無理でしょ」
呆れながら言うと、
「がんばるもん。だから約束!」
そう言ってのける将太君。
今買ってあげてもよかったけれど、生意気な将太君に、意地悪な試練。
「うん、いいよ」
あたしが頷くと、将太君は自信満々の顔をして、手を振って体育館を出ていった。



