美保のトイレを待って、一緒に体育館へと続く廊下を歩く。
「杏奈と小野君って、お互い好きなんだと思ってたから、小野君が香織と付き合い始めてびっくりしたよ」
「雄平とは、一年生の時からずっと同じクラスだからね。腐れ縁だよ」
「なんかいいなぁ。そういう感じ」
ふふっと笑う美保。
「でも香織はちょっと複雑かもね。彼氏に仲良しの女の子がいて、それが自分の親友って」
美保のその言葉に、あたしは腕組みして、うーんとうなる。
「やっぱり、そうだよね」
「あたしが言うのも変だけど…。小野君のこと、好きにならないでね。香織のこと、裏切らないでね」
裏切り…。
そう、雄平を好きでいることは、香織に対する“裏切り”なのだ。
「四人で笑って卒業したいんだぁ。杏奈と香織のこと、恵と同じくらい好きなんだからね!」
美保はそう言いながら、あたしの腕にからみつく。
あたしにとっても、美保は大切な友達。
恵だって、もちろん、香織だって。
「大丈夫だよ」
あたしは美保に向かって、大きく頷いた。
大丈夫。
すぐに、忘れるから。



