きらめきシーズン~卒業までの12ヶ月~




「小野君のこと、ずっと見てる気がしたから」


心臓が、きゅっと縮む。


美保は、気付いてしまった?


それとも、あたしは、そんなあからさまだった?


絶対に気付かれてはいけないのに。


どうして自分を抑えられなかったのだろう。


唾を飲み込んで、慎重に言葉を選ぶ。


「自分のクラスの応援だから、確かに雄平のことは見てたかな。でも、それだけだよ?」


そんな嘘が、通用するだろうか。


美保はじっとあたしを見る。


思わず目をそらしてしまいそうになったけれど、そうすることは、嘘を白状することと同じだ。


実際にはそうではなかったけれど、とても長い時間に思えた。


ふ…っと美保の表情が和らぎ、


「そうだよね。ごめんね!」


そう言って、ようやく視線をはずした。


「もしそうなら、香織がかわいそうだと思ったんだ」


その言葉に、ドキリとする。


「友達と同じ人を好きになることって、結構あるじゃん?一緒に追いかけてるうちに、自分も…みたいな」


そういう話は、よく耳にする。


そして、それがきっかけで友情が崩壊してしまったということも。


人を好きになるのは自由だし、心をコントロールできるものでもないのに、堂々と好きでいられるのは、最初に友達に打ち明けた人だけなのだ。


後から好きになった人は、ひどく非難される。


それが親友なら尚更で、あたし達は、親友の好きな人を、絶対に好きになってはいけないのだ。